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思い描いていたモノが様々な人を経てカタチになる。思いを託されカタチにする人たちのお仕事の話

八千代組

松家史郎(まつか しろう)
1984年徳島県生まれ
徳島県立徳島工業高等学校(現徳島科学技術高等学校)建築コース卒業後、株式会社八千代組に入社
以後建築現場の施工管理を主に行っている

井村冬弥(いむら とうや)
2004年徳島県生まれ
徳島県立阿南光高等学校 都市環境システム科卒業後、株式会社八千代組に入社
以後建築現場の施工管理を主に行っている

様々な工夫を経て魅力あるカレッタに生まれ変わる。必要な作業を効率よく、最大限の魅力を引き出す為に

工事全体をスムーズに進行させる為に尽力する縁の下の力持ち。施設としての品質を最大限発揮できるように。

株式会社八千代組工事主任の松家史郎さん(40)と現場代理人の井村冬弥さん(20)から今回のカレッタ改修工事に関するお話を聞いてきました。八千代組はこれまで一般住宅からマンション、ホテルの施工や学校等の改修工事を徳島県内外問わず行ってこられたそうです。今回のカレッタ改修工事では、施設特有の課題に直面しながらも、緻密な計画と柔軟な対応で施工を進めていったと言います。
八千代組の面々による技術のもと、生まれ変わりつつあるカレッタの出来上がりが徐々にカタチとして目に見えてきてわくわくドキドキしてきますね!


八千代組の主な業務内容は、現場工事を進めるにあたっての各業者への手配や全体のスケジュール管理、工程管理、品質管理、安全管理です。それぞれの役割を担った専門家たちの膨大な情報が図面に落とし込まれ、八千代組の管理のもと工事が進められることによってようやくカタチになっていきます。様々な人々の思いがようやく目で見て分かる段階までやってきました。

飼育されている環境や動線を考えながらスムーズに作業を進めていくための工夫、対象が人ではない事に重点をおき行動する

これまで何度か改修工事や増設を行ってきたカレッタ。施設に残っている過去の工事資料が十分ではなく、配管や配線の正確な位置が把握できないという課題がありました。特にコンクリートの床に穴を空けて施工を行う場合、床下を通る設備の影響を考慮し、慎重な確認作業が求められるそうです。下手に配管等に穴を開けてしまった場合、生き物や水槽などに影響を及ぼす事が大いに考えられる為、慎重に作業を進めなければなりませんでした。確認作業に時間を取られてしまいスケジュールの再調整が度々必要になった事もあったそうです。そこで松家さんらが工夫したのは全体のスケジュールを確認し、前述のような確認作業に時間を要する箇所は事前に独自で調査をし、ある程度現場の状況が把握できている状態にしておくということでした。そのおかげて予想外の作業工程があってもスムーズに作業が行えるようになったそうです。

また、今回のカレッタ改修工事で難しく感じたのは、普段マンションや学校の施工を行う際の対象が「人」であるのに対して今回は対象が「生き物」だという事でした。
対象が人なら工事関係者以外立ち入り禁止のエリアを作り、事前の連絡等である程度行動を制限できますが、今回は対象が生き物ということで、その飼育環境に支障が出ないように配慮しなければならないし、生き物がいるということはそこに付随する飼育員さん達にも支障が出ないよう導線や環境づくりを工夫しなければなりませんでした。
事前調査をはじめ全体への配慮、それぞれの箇所で行われる工事同士がハチ合わないようにする為のスケジュール管理。様々な作業が平行して動いていく中、上手に整理や管理をしながら工程を進めていくのはとても大変そうでした。
松家さんは、「工事現場側の人間もカレッタの施設側の人間もやりずらさはあるだろうな」と言います。見えない箇所にも工事を進めていく大変さが感じられます。カレッタを実際に施工しているからこそ他の人には分からない苦労や工夫があるのでしょう。そんな松家さんに、完成するカレッタの見所を聞いてみました。

見所はやはりウミガメ大プール。大自然を目の前にした圧倒的な存在感

松家さんの第一声は、やはりウミガメの大プールだという返答でした。様々な業者や美波町役場とのやり取りを通して、多くの人がプール改修に対する情熱や期待を抱いているのを感じるそうです。実際に完成予定図を見ながら説明をしていただいたのですが、ぐるっと取り囲むように回る遊歩道や水中からウミガメの様子が観察できる窓、道沿いにぽこっと飛び出ている餌やりスペースなど、360度様々な角度からウミガメが見渡せるよう工夫されています。

大浜海岸という圧倒的な大自然を目の前にした大迫力のウミガメプール。想像するだけでワクワクします。完成がより一層楽しみですね!

松家さんや井村さんが感じた美波町のカレッタに対する思い。地域住民の声が生きる町のシンボル、カレッタ

美波町の役場関係者やカレッタ職員、住民たちとのコミュニケーションを通して感じたことは?という問いには、
「皆さんカレッタを良くしようと様々な意見をくださいました。
去年のウミガメ上陸数を上回るためにはどうするか?、新設する設備は本当にウミガメに適した環境なのか?来館者に十分な情報を提供できているか?など話し合ううちに、より良いものを生み出そうとする皆さんの情熱がこれでもかというほど伝わってきました。」と答える松家さん。
一例として、カレッタ入口付近に設置されたウミガメをかたどった電話ボックスがあります。多くの住民から愛され、美波町のシンボルともいえるこの電話ボックスをどうするかと頭を悩ませていたところ、
「この電話ボックスだけはどうにか残してもらいたい」
という多数の意見が寄せられ、電話機自体は既に撤去されてしまったものの、ウミガメ形の外観は施設内に設置できるようにと現在計画の調整を行っているそうです。
行政主体の淡々とした改修工事ではなく、住民の意見もしっかり反映されながら進められているリニューアル。
カレッタが地元の人たちからいかに愛されているかがわかるエピソードでした。

いろんな人の思いを背負ったカレッタが動き出す。沢山の関係者の思いをカタチに

細かい工程や全体のスケジュール、大きい箇所から細かい箇所まで様々な事を確認しながら作業工程を進めていく中、他の人よりも俯瞰して現在のカレッタ改修工事を捉えているであろう松家さんと井村さんに、今後カレッタにどのような施設になってほしいか聞いてみました。

「リニューアル後のカレッタは観光施設として楽しめる場所。更にはウミガメに関して深く学べる情報がたくさん詰まっており、展示もよりわかりやすく情報が伝わるように整理されています。なので一度来た人が何度訪れても楽しめる場所として生まれ変わってくれると嬉しいです。また、ウミガメ電話ボックスのように一度見ると印象的で記憶に残るような施設にもなってほしいです。新ウミガメプールは十分魅力あるものだと思うので、たくさんの人にきていただいて楽しんで帰ってもらえたらなと思っています。」と語るお二人でした。

オープンまで時間があるようで、気づけばあっという間にその日を迎えそうです。色々なものが徐々にカタチになってきました。たくさんの人の思いがこもったうみがめ博物館カレッタ。これからは日に日に変化していくカレッタの姿を見られることでしょう。皆さんで一緒にカレッタを盛り上げていきましょう!!

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