この地が「ウミガメの町」になるきっかけとなったのは、昭和25年（1950年）のことです。
当時は食糧難の時代でした。肉をとるため無残にも殺されたアカウミガメの亡骸を、大浜海岸で日和佐中学校の先生と生徒が見つけ、涙を流して憤慨しました。「海の使いとして知られるウミガメにこんなことがあってはいけない！」「僕たちでウミガメを日本中に知らしめて、こんなことが起こらないようにしよう！！」と中学生と先生はウミガメ研究会を発足し、ウミガメの産卵回数の記録や飼育研究を始めたのです。これが、日和佐とウミガメの関係の始まりでした。

一生懸命に進められたウミガメ研究班の活動は約10年にも及びました。
研究成果は、当時画期的で、世間から様々な科学賞を受賞するまでに至ります。また、その内容は、数十年後にそれを知った世界のウミガメ研究者からも驚かれるほどのものでした。
一方で、飼育していたウミガメは大きく成長し、また、中学生の研究が世間に知れ渡ったことで、多くの訪問者が訪れるようになり、それは、学校の本来の活動が立ち行かなくなるほどでした。ウミガメ研究班は、町へとタスキをつなぎ、町の水族館でウミガメの飼育が行われていきます。