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先人たちが繋いだものを未来へ。動き出すカレッタ、美波町が新たな価値を生み出すためにできること

影治 町長

深い歴史と文化を背景に、観光的かつ学術的な価値を兼ね備えた施設。未来のカレッタの在り方を描く美波町長、影治信良さんのビジョンを紹介します。


美波町赤松出身の影治信良さん(68)。大阪の近畿大学を卒業後、当時の日和佐町役場に就職。企画観光課長から総務課長を経て2009年8月から美波町町長に就任。今年で15年目。日和佐町役場時代、うみがめ荘に泊まり込みでウミガメ達の上陸産卵のサポートも経験。ウミガメ業務に対する大変さは身をもって体験したと言います。影治町長の仕事内容はカレッタのリニューアルに限らないものの、美波町出身の町長として、カレッタのリニューアルについてどのように感じているのか、お話を伺ってきました。

伝えたいものと伝わり方のギャップ。これからの時代に必要な要素を考える。必然的に動き出す今回のカレッタリニューアル

今回のカレッタリニューアルの経緯をお伺いしました。
「きっかけは当時、産業振興課の職員からリニューアルが必要なのではないか?という提案があったこと。」
と、言うのも当時のカレッタには日本語の情報展示のみで、海外の旅行者も増えているこの時代に今までの町の歴史や文化の重みがうまく伝わっていないのではないか?という事でした。
当時、全国観光地所在町村協議会の常任理事を兼任していた影治さんは、もしリニューアルをするとなれば大きな資金が必要になり莫大な時間もかかるだろうと考えたそうです。その協議会には文化庁や観光庁など様々な人の繋がりがあることから、何かいい補助金等あるかもしれないとの事で、協議会にその職員をを紹介したそうです。そこで、カレッタのリニューアルに関わる補助金がある事を知り、今回のリニューアルが動き出したと言います。
今回のリニューアルは町長自ら提案をして動き出したのではなく、美波町役場の職員の思いから動き出した素晴らしい行動だと言います。美波町生まれの人間はウミガメとの距離が近い分、当たり前になってしまい価値や重要性を感じ取りにくい部分があるかもしれない。更に、近年ではウミガメの上陸も減少し産卵数も減ってきている。地元の子ども達に対しても、ふれあい体験などのイベントがコロナ禍の影響以降も行えてないのも事実。高校を卒業し町外へ出てしまうとウミガメとの関わりはますます少なくなってしまっています。
現存するカレッタの存在価値に気づき、オープン当初から変化してきた時代の流れと共に変化していかないといけない部分を見極め、次の世代への橋渡しをするとても貴重なタイミングの様に感じていると嬉しそうに語ってくれました。

カレッタリニューアルが動き始める。時代背景と共に偶然と必然が交錯しながら、必要な方向へと進んでいく

影治さんは今回のリニューアルに対して「文化施設として満足のいくものを作る方が後々のために重要。そのためにかかる費用は、未来への投資と考えている。」と話してくれました。今ある文化的価値を大切にし、後世に今あるカレッタを繋げていくためにも今回のリニューアルは偶然の繋がりではなく必然だったように感じると言います。しかし、予算も無限に使えるわけではないので担当をしてくれている職員やカレッタのスタッフたちはかなり頭を悩ませていたのが影治さんの立ち位置からでも感じ取れるとの事でした。カレッタを価値のあるより良い施設にするために、様々な話し合いも行ってきました。その中でも現館長である平手さんがカレッタに来ていただいたのは非常にありがたい事だと言います。


『長い年月ウミガメに関わってきた知見を活かして、リニューアルするカレッタの原動力を生み出す平手館長』

これまでは役場職員が入れ替わりで館長の職に就いていたこともあり、ウミガメの専門知識が薄い中で施設をどう動かしていけばいいのか判断に悩むことも多々あったのだとか。しかし、現館長はウミガメへの知識やこれまでの経験から今のカレッタに新しい付加価値をつけてくれるのではないかと思っており、カレッタの学芸員や職員からしても、専門知識のある方からの意見やアドバイス、また話し合い等でより価値のあるコミュニケーションが取れるのではないかなと思っているそうです。
またこれからのカレッタの価値に関しても影治さんなりの考えがある様です。現存する資料、情報や文化は世界的にみても非常に貴重なものであり、これまでカレッタが行ってきた事やこれからカレッタが動いて導き出す答えは非常に価値のあるもの。そんな情報の詰まったカレッタが環境学習のできる場所として新しい価値を持ってくれればいいなと考えているそうです。様々なウミガメの研究者や知見者から言われているように、大浜海岸は人の生活と近い所でウミガメの産卵がおこなわれ、昔からウミガメ保護の歴史がある。町はカレッタをSDGsの拠点と位置付け、町内の小中学生が環境について学べ、高校生、大学生や研究者がカレッタにくれば研究できる資料が揃っている、ここへきて環境学習をしましょうという形も今後作り上げていきたい。そしてウミガメをいろんな方に知ってもらいながら育っていき、環境教育の聖地としても新たなカレッタの存在価値を今回のリニューアルを機に見出せればなと、未来のカレッタを想像しているような趣で楽しそうに話をしてくれました。

カレッタが存在する2つの大きな意味。そして、移り変わる価値観の中で存在意義を見出す

カレッタはオープン当時から2つの目的を元に存在価値を見出してきたと影治さんは話します。「観光と学術です。」ウミガメの産卵が見学でき、ウミガメ保護の歴史を学べる場所。大浜海岸という雄大な自然の近くに位置し、日和佐八幡神社の鎮守の森に守られる様にして存在するカレッタは独自の雰囲気を生み出す観光地となっているのではないかと言います。また、ウミガメとのふれあい体験などウミガメに触れる事ができるイベントも開催されている。ただ、ある時から神聖なウミガメの産卵を見せ物にするのはどうだ?という風潮も生まれたらしく、現在は観光の拠点から教育的な要素を取り入れた博物館としてシフトしていくタイミングなのではないかと真剣な表情で語ってくれました。そして「研究機関としての役割はもちろん、環境学習としての役割も担う博物館として発展していってもらいたい。」今回のリニューアルをキッカケにそういったカレッタの立ち位置や要素に関して考える非常に貴重な機会になっているのではないか、と影治さんなりの考えを話をしてくれました。

新しくなるカレッタ。美波町や住民の方々で守り抜いていかなければならない理由と未来の子ども達に伝えたいこと

「カレッタが特別な施設であるというのは紛れもない事実。町はカレッタを守っていくし、住民の方達もカレッタも守り次世代に繋げていって欲しいと思います。そのために、今回のリニューアルに伴って新しい館長に来てもらい、情報も新しくなり多言語化にも対応できる様になる。昔と今ではやり方や情報が違う部分もあるかもしれないが、皆んながウミガメにとって何が幸せで何が良いのかを一生懸命考えた結果が今のカレッタの姿であり、これからのカレッタの存在意義だと思っています。それもこれも住民との関わりと理解がなければ難しかった事だという事もわかっています。将来、子どもたちの記憶に残る心のふるさとと感じ取れるような存在であって欲しい。」と新しくなるカレッタに期待をしている影治さんでした。

カレッタの歴史が今と昔を結び繋げ、新しい価値観や世の中の風潮とが複雑に混ざり合いながらこの時代、これからの時代により価値を生み出す存在になるのは間違いなさそうです。住民との繋がりを大切にしているウミガメとカレッタ。これからも多くの人に愛されながらより良い施設へと進化していって欲しいですね!

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