ヘルマンリクガメの産卵
飼育員
今はウミガメの産卵シーズンですが、少し前にあったヘルマンリクガメの産卵エピソードをご紹介します。
4月末、メスのヘルマンリクガメに朝からウロウロする行動が目立ち始めました。
後肢で穴を掘る行動も見られ、明らかに産卵行動だったので経過観察をしていました。
なかなか気にいる場所がないのか穴を掘っても途中でやめてしまい、産卵用に用意していた土床で穴掘りをし始めたので今度こそはと思い見守っていましたが、残念ながらここでもやめてしまいました。
屋外でウロウロしていたので、飼育場の一部の土を掘り返して穴掘りがしやすいように耕してみました。
するとすぐにトコトコやってきたのは、、、
ヘルマリクガメではなくアカアシガメでした。
体を前後に動かし土にお腹をすりすりしたりして、フカフカになった土の感触がたまらんかったようです。
ヘルマンリクガメは全く興味を示しませんでした。
翌日、ヘルマンリクガメがしきりに気にしていた場所は木の根元でした。
その場所で何度も穴掘りにトライするヘルマンリクガメですが、根がむき出しになり穴が掘れるような環境ではありません。
体内が卵でいっぱいの苦しい状態でこれ以上体力を消耗させたくないし、卵詰まり(場合によっては死んでしまうことも)になったらどうしようと焦りました。
そこでこの場所をヘルマンリクガメが選んだのなら、ここに土を盛って様子をみてみようと思いました。
すると穴掘りを開始しました。問題はここからです。
穴掘りを中断しませんよーに!
そして穴掘りから約30分後に産卵が始まりました。
↓白いのが卵です。
20分ほどかけて4個の卵を産み、その後丁寧に穴埋めもして終了!
今回、産卵の兆候が見られてから産卵に至るまでに少し時間がかかりましたが、見守るだけではなくカメがどのような状態を求めているのか汲み取ってその都度対応していく大切さを実感しました。
産卵したいときにその生理的な行動(その他の欲求や行動に関しても)をスムーズに行わせてあげるのも飼育員の大事な任務です!